前回までのあらすじ
世知辛い世間の片隅でいっしょけんめ生きている派遣社員、こなみかんたろう(30代 独身)。
新しい派遣先で彼を待ち受けていたのは、職場の中年既婚者カップルによる壮絶な「いちゃいちゃハラスメント」だった―――
前回記事:

戦場へ
おじさんとおばさんに誘われて、3人で飲みに行くことになりました。
金曜日の仕事帰りに個室の居酒屋さんへ集合することになり、ぼくは一番乗りで会場に到着しました。

あれ、
おじさんはぼくより早く仕事を終わらせて退社したはずだけど
なかなか来ないなぁ…
おばさんは今日有休とってたからわからないけど…
集合時間を15分ほど過ぎて、おじさんとおばさんが一緒にお店にやってきました。
どうやらおじさんがおばさんを家まで迎えに行っていたので遅くなってしまったようです。

おばさんの家結構遠いらしいのに
仕事終わりにわざわざ送迎してくれるなんて、おじさんはほんとにおばさんのことが大好きなんだなぁ!(ぼくも送迎してよ飲みたかったよ)
車で来ていたぼくは飲むことができず、完全シラフの状態でこのいちゃいちゃカップルと密室に閉じ込められることになりました。(田舎はね、車がないとどこにもいけないんだよ、悲しいね)
そうしてひとりぼっちの戦いが始まりました。
せめて、酒さえあれば―――
甘えんぼ
いつものようにおじさんとおばさんは仲良く並んで座り、ぼくが向かいにひとり座りました。
おばさんはメニューをめくりながら上目遣いでおじさんを見つめ、

ねぇ、これおいしそう!
食べたぁい!
などとはしゃいでいました。
職場ではみたことがない甘えた様子に、ぼくはこれから自分の身に起きることがはっきりと見えたような気がして、早くも戦慄しました。
自分の意思でここまで来たはずなのに、帰りたくて仕方ないよ、なんでだろう―――
マッサージ地獄(上級編)
ぼくとおじさんはソフトドリンク、おばさんはビールで乾杯をして、宴が始まりました。
この個室居酒屋さんは肉寿司が名物で、これが大変おばさんのお気に召しました。

うまぁーい!
もういっこ!もういっこ食べたい!
と子供のような無邪気さでおじさんにおねだりすれば

じゃあおじさんのぶんもあげるからね!
とおばさんを徹底的に甘やかしてくれます。
そんで当然のように「あーん」ってやって食べさせるんですが、もうね、慣れたよ、知ってる。
いつの間にかおじさんの上着をふたりで仲良く膝掛けがわりに半分こしてるし、そんなんはね、もうね、日常だからね!
お酒も進み(飲んでるのはおばさんだけだけど)、料理もだいたい食べ終わってくつろぎモードになってきた彼らは、座敷タイプの個室なのを良いことに足を投げ出して座り始めました。
そしてこれまたごく自然におばさんの足をもみもみマッサージし始めるおじさん。
はいはい、いつものやつですね!別にね、怖くないっすよ!!ぼくももう訓練されすぎてそれくらいじゃ何にも感じなくなってきたよ!!

痛たたた!ちょっと!もっと優しく揉みなさいよ!

えっへへ、すみません

ちょっと!!どこ触ってんの!!

痛たた!
すみません、ぶたないでー 笑
みたいな光景を見ながら、ぼくは薄ら笑いを浮かべてウーロン茶をすすっていました。
これね、おばさんの足に膝掛け(おじさんの上着)をかけた状態でもみもみされてるから、どこ触られてんのかよくわかんないんですけど、それが余計にビジュアルきっつい。
なになに?なんのおプレイですの?ぼくに何を見せてくれてるんですの??
これが美少女とかなら眼福ものかもしれませんが、日々鍛錬しているぼくも、熟女好きの気がないからかだんだんと気分が悪くなってきて、目を伏せながら残り物のサラダをかき集めるなどしていました。
まだだ、まだ戦える――
お掃除地獄
ひとしきり揉みしだかれて満足したおばさんが、ぽつりと

なんか歯に挟まってる
とつぶやき、口をもごもごさせはじめました。
するとすかさずおじさんが

どれどれ、みせてごらん〜?
とおばさんの顎に手をあてます。
おばさんは素直に口を大きく開けました。
ぼくはシメの冷麺に手を伸ばしました。

ちょっと失礼しますねー
というなりおじさんは食卓にあった爪楊枝を手にとって、おばさんの歯をお掃除しはじめたのです。

あ、あ゛あ゛あ゛ああああ…
ううわぁあ…
(声にならない悲鳴)
あんなに訓練を積んだのに、ぼくは身がすくんでしまい、冷麺をすする顔をあげられなくなってしまいました。

とれた!
そして、おじさんはおばさんの口内からかき出した肉片か何かを指でつまんで食べました。

あ゛あ゛あ゛あ゛ぁーー!!!
うわ゛あ゛あああああああーーー!!!
そこからどうやって帰ったのか、ぼくは覚えていません。
ただ、お会計前におじさんがぼくに囁いた

今日はおじさんの奢りだ。
いつもいろいろ目を瞑ってくれているからね。
という声だけがいつまでも耳に残りました。
決意
無理だ。
やめてくれぇ!やめてくれぇ!もう無理だ!!こんな職場にいられるか!!そうだ、お金持ちに、ぼくはお金持ちになるんだ!!そうしてこんなところから自由になるんだ!!もう働かなくていいんだ!!うわぁ!うわぁーーーい!!
絶対お金持ちになるぞ!!!!
おしまい。
おまけ:職場でいちゃいちゃすることはハラスメントなのか?
思い悩んで検索したところ、「職場でいちゃいちゃしてる社内恋愛カップルがしんどい!!」「うざい!!」「きもい!!」「迷惑!!」みたいな声は結構たくさんありました。
Yahoo知◯袋とかで相談してる人もちらほらいて、回答の中に
「程度や内容によっては【環境型ハラスメント】にあたるかもよ」
という声がありました。
環境ハラスメントとは↓
環境型セクシュアルハラスメントとは、「その性的な言動により就業環境が害されること」です。
つまり、自分の意に反する性的な言動が職場で起きていること(過去に起きたことも含む)によって、就業環境が不快なものになり、仕事に集中できず、能力が発揮できなくなったり、それが原因でメンタル不調に陥ったりすることをいいます。
(社会保険労務士法人 飯田橋事務所 ホームページより引用)
ハラスメントの基礎知識_①対価型セクシュアルハラスメント、環境型セクシュアルハラスメントとは“知らなかった”では済まされない、職場で起こるハラスメントを正しく理解しましょう!ハラスメントに関する基礎知識を、数回にわたって解説していきます。 今回は、セクシュアルハラスメントの種類についてです。職場で起こるセクシュアルハラスメントは、
うーん、おじさんとおばさんの場合は、性的ってほどでもないし、ぼくのメンタルはやられたけど就業時間中ずっといちゃいちゃしてるわけじゃないしな…
2人はぜんぜん別の仕事をしてるのにおじさんがおばさんを構ったり仕事手伝ったりしてるから周りが呆れてることはたまにあるけど、業務に支障がでてるか、って言われたらわかんないなぁ…
まあお昼休みだけ我慢するか逃げるかすればいいんだけどね!
周りには何も相談してないけど、派遣仲間の女性の方には「あの2人と一緒にいられるのすごいね!!」って褒められた(?)よ★
ぼくみたいに辛い思いをしてる子は参考にしてみてね!!
おしまい。
コメント